9つの難病を持つ10歳の男の子が創った言語 [人間]
りお君こと、印鑰理生君(いんやくりおくん・10)は、01年、不整脈が原因で34週目に帝王切開の緊急手術で生まれてきた。
4種類の不整脈、慢性肺疾患、重症ぜんそく、気胸などを含め、9つの難病を患い厳しい治療を受け続けている。
でもそんなりお君はお母さんの紀子さん(40)に
「病気で生まれてきたから、ぼくはいろいろな体験ができる。ママもいろいろな体験ができる。だからママは喜んでいいよ」
と信じられない言葉をかけることができる10歳なのだ。
こんな奇跡の少年、りお君のとの日々のうちに、紀子さんの心にも
奇跡の変化が起こっていた。
「私は『ちゃんと産んであげられなかった』と自分を責め続けていました。でもりおは、どれほどつらい治療や痛みにも、ひとしきり泣くとそのあとは『ハッピー』と笑みを浮かべるんです。そんなりおと生きるうち、『ごめんね』と思い続けるのは息子に対して失礼なことだと気付いたんです」
自責の念にかられ続けていたことは実は息子に対して「失礼」出会ったと気
づく、180度の心境の変化。
そして紀子さんは、りお君のしゃべりだした独特の「りお語」にある時気がついた。
「4歳のころ、英語のビデオを見るのが好きだったりおに『英語好きだね?』と聞くと、『ぼくはここに来る前、お空の上にいたよ。アメリカもここも同じお空でしょ』と、いきなり生まれる前のことを話しはじめたので驚きました。それ以来、神さまのこと、病気のこと、心について不思議なことを片言で話しはじめたのです。」
りおくんの心のなかではアメリカも日本もない、みんないっしょ、
まさに、 「神様の心」 だった。
紀子さんはりお語をつづって本にまとめた
その名も自分をえらんで生まれてきたよ
なんと、すばらしい、胸をうつ言葉だろう。
《ぼくは、病気を選んで、
生まれてきた。
希望をもって、
生まれてきた。
心を感じることで、
勇気がでる。
それがつまり、
希望のことなんだ》
大震災の後、りお君一家は、彼の体を思って沖縄に引っ越した。
「沖縄は神さまの島で大好き。ぼく、島んちゅになります!」
やはり、りお語である。
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